ENGINEER BLOG

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インフラエンジニアの今後

こんにちは。プラットフォームサービスの菅井です。

これまで、弊社のエンジニアブログでは各々が行った様々な取り組みを紹介してまいりましたが、
たまには?ということで、今回はコラムとして掲載させて頂こうと思います。

今までのインフラエンジニア

一昔前までインフラエンジニアといえば、

  • あるときは、様々なベンダーのサーバをキッティングからOS導入・設定、ミドルウェア導入等を行い
  • あるときは、様々なベンダーのネットワーク機器をセットアップして構築を行い
  • あるときは、様々な業務アプリケーションのパフォーマンスチューニングを行い
  • あるときは、様々なサーバを安定稼動させるべく保守管理することを行い

などなど、ソフトウェアの知識とは別にハードウェアの知識も必要とされており、
特定のサービスでは特性上24時間いかなる時でも即応体制が求められていたりするなど、
広い知識や経験・コミュニケーションに加えて体力・精神共に必要とされているなかなかハードな仕事でした。。。。

これからのインフラエンジニア

さて、昨今のIT市場動向の変化とともに、経営者のITに対する考え方・利用法も同時に変化していきます。

簡単に言えば、これまでのITは経営者にとって現在の事業を推し進める為の道具としての役割が大きく「手段」となっておりました。

ですが、これからは経営者にとって「手段」という役割ではなく、「新たなビジネスの創造」「事業改革・拡大・成長」を達成する「目的」という役割になっています。

例えば、これまでグループ個別で利用していたIT機器などを見直す事で全体最適化でIT費用を削減する、、等の話はこれまでも様々なお客様でよくお聞きしておりましたが、
ここ数年でITインフラに求められる役割は違います。

グループ各社が行っている事業を組み合わせて新たなビジネスを創出する

「ビジネストランスフォーメーション&コミュニケーションインフラ」

このようなインフラが求められることになり、
その「目的」の為に、「グループITガバナンス」や「グループIT運営」などが推進されるお客様が増えております。

そこで、今回はクラウド時代のインフラエンジニアにこれから求められるものとして、
「グループITガバナンス・IT運営」といった点を中心にどのような活動が必要となるか、個人的見解を記載させて頂こうと思います。

クラウド時代のITガバナンス?運営?

クラウド時代のIT資産は自社の枠を飛び出しています。
これまで自社内に引きこもっていたIT資産達は、ファイアウォール内でシステムを守っていればいいというような、これまで通用していたITガバナンスモデルを崩壊させてしまいました。

例えば、

「ノートPC・スマートフォン・タブレットを使って、グループ社内外で自由に情報にアクセスしたり、必要なときに迅速にコミュニケーションが取れる。」

といった活動を行うことで、「新たなビジネスを創出するという目的」の為にコミュニケーションインフラが必要となります。
あるベンダーが提供している便利なSaaSを使って社内外でコミュニケーションを実現する為には、ファイアウォールの外側も管理する新たなITガバナンスが必要になります。

しかし、グループ各企業における事業内容・IT資産・利用状況によって取り組むべき施策やアプローチが大きく異なり、そこにITガバナンス推進にあたっては大きな壁が待ち受けています。

そのような際、インフラエンジニアとして必要な活動とはどのようなものなのか、ここで技術的な事を記載するととても面倒くさい、、、長くなりますので、
「目的」を達成する為にインフラエンジニアはどのような行動をするべきなのか、ビジネストランスフォーメーション&コミュニケーションインフラによる相乗効果をリスト化して各々の活動を記載してみました。

ビジネストランスフォーメーション&コミュニケーションインフラによる相乗効果

● ノウハウの共有

ノウハウや各社独自のスキルを共有することで、より質的な向上を図る。

最初の障害として、ノウハウや各社独自のスキルは保有の仕方が異なる事です。
そのため、各システムの技術的な要素、IT運営に関わる各種プロセスを共通化または標準化して、今あるノウハウや各社独自のスキルについて洗い出しを行う事が必要になります。
しかし、共通化や標準化を行う際には、文書化されておらず頭の中で保管して行っている物があったり、標準化へ更新することでのミスや漏れを恐れて進まない事が予想されます。
そのため、推し進める為にはミスを許容する必要さがでてくるかと思います。

● IT資産の共有

オンプレミスなどIT資産を共有・統合することで経済的な効果を計る。

共通性の高い財務会計や人事給与といった管理系業務など、クラウド化・データセンター統合を推進実施して、個別各社で保守・運用を行うよりもコストを低減させることで経済的な効果を計ることができますが、
それ以外にも、購買・物流・販売などのサプライチェーン系業務についても、業務連携が可能な領域が存在する可能性があるため、グループ各社が利用しているITインフラについては慎重に検討し、事前の共有・協力体制を作る必要があります。

● IT資産の共同購入

サプライヤーへの影響力が向上し、スケールメリット的なコスト削減が期待できる

グループ各社で複数の異なるシステムを導入・運用することは、購入費やライセンス費だけでなく、技術習得・保守・教育・サポートなどあらゆる面で重複的なIT投資を行っていることになります。
例えば、貸与するPCを各社自由に採用したり、セキュリティポリシーを各社で独自に策定したりすることは明らかに無駄な費用となります。
グループ一括購入によってベンダーとの交渉力がより強まったり、数量に応じたディスカウントなどのコストメリットを得たりする可能性が強まるかと思います。

● 戦略的調整

グループ企業間連携を強めることで、別市場に埋もれているニーズを見出したり、
協業体制を敷くことでの競合企業への競争力向上が期待できる

よくお聞きする例として、グループ各社の協調関係が未成熟で効果が見えない状態になっている事があります。さまざまな施策を検討する際も、グループ全体の視点と各事業体単独の視点では、コストの面でも得られるメリットの面でも利害が一致しないことが多く、互いの状況を理解し合わなければ、「実は他事業で有効に使える情報だと認識できていなかった」などとなり、協力して進めることはできません。

そのために、

  1. 各事業が保有している情報とはどのようなものなのか
  2. 必要なコミュニケーションとはどのようなものなのか
  3. 最適なコミュニケーション手段はどのようなものなのか

といった点について注意し、定期的に各社の関係者を集めた情報共有会のようなものを実施する必要があると思います。
これは、メールのような非リアルタイムなコミュニケーションでは、情報が伝わるスピードや連携という観点では限界があり、
より密なやりとりを行い、各関係者間との認識のずれを抑えることが必要となるからです。

● セキュリティリスクの軽減と回避

グループ各社独自のセキュリティポリシー格差を無くし、情報漏えい防止など全体的なセキュリティレベルの底上げを図ることができる。

情報漏えいの防止や標的型攻撃への対応などを含む情報セキュリティ対策は特に重要ですが、ITリスク対応の対象範囲は広範囲に及ぶことが多く、グループ各社との協力体制や認識のずれを抑えることが必要です。

セキュリティ対策は、攻撃手法が多岐で複雑性も高まっており、グループ会社が単独で対策を講じることは、ITリテラシー不足・コスト等の点で困難な場合が多い為、万が一、グループ内に1社でも漏洩や不正が発生すると、グループ全体の信用やブランドが毀損することも念頭に置く必要があります。

グループ各社のIT部門が定期的に情報交換会などを実施する必要があると思います。

おわり

ビジネストランスフォーメーション&コミュニケーションインフラによる相乗効果では、上記以外にもグループ各社に点在するIT人材の人的リソースの最適配置や、専門スキル・知識の集約による、より高度な運営体制などが期待できますが、
インフラエンジニアとしての活動とはすこしずれる為、ここまでとさせて頂こうと思います。